「最初は雑所得だったけれど、どんどん収益があがってきた」
「税金も多くとられている気がする…」
「事業所得にすれば税金を少なくできるらしい」
実は、事業 所得と雑 所得 は、はっきりとした違いがあるわけではありません。
事業所得として確定申告すれば所得税を低くおさえることができるため、ある程度の規模になると事業所得として申告しようと思う人が多くなります。
しかし最終的な所得種類の判断は 税務署が 行ないます。
税務署の 判断に 納得できない場合は 、「国税不服審判所」で判断を委ねることになります。
ここでは ほんとうにあった 国税不服審判所 で 争われた 裁決事例3 選を 紹介していきます。事例を参考にすれば事業所得として認められるポイントを理解することができます。
金銭 貸付で得た所得が 事業 所得ではなく雑 所得に該当するとした 判例!
事業所得 として 成立 しているように 見えても、事業者 に 安定 した 給与 収入があったり 営利 性が乏しかったりすると 、事業 所得 として認めてもらえません。
その事業活動が、以下の条件に当てはまる場合は、事業所得となります。(かっこがきは青田が訳したものです。)
- 自己の計算と危険が伴う事業活動である(命がけで本気でやっている)
- 独立して営まれている(誰かに頼らずに独り立ちしている)
- その事業活動に営利性、有償性、継続性、反復性がある(ずっと続けるつもりで事業活動をしている)
- 精神的・肉体的労力をその事業活動に費やした(片手間ではない)
- その事業活動のために人を雇ったり設備投資を行なった(アルバイトを雇ったり店舗用の厨房機器を買った)
- 安定した収入を得る可能性がある(食べていける見込みがある)
雑所得と事業所得の違い|副業をしている人は知っておくと安心
貸金業が 上記の条件に すべて当てはまる場合は 、事業 所得として認められます。
しかし 本件では 、以下を理由として事業 所得として 認定されませんでした。
- その個人事業者と金銭を 貸付された法人が特殊な関係 にあった( 営利性 がない)
- 個人事業者は 給与によって 生 計を立 てている( 危険 が伴っていない)
- 特殊 な 関係 にある 法人以外 に 貸付した件数や 金額を 客観的に 判断すると、事業 規模 に達しているとは 言い難い
もしこの 個人事業者 に 給与収入 がなく 貸金業 だけで 生活 しているという「本気」が 税務署 に伝われば、 事業 所得 として認めてもらえる 可能性 が高くなるのではないかと思います。
不動産 譲渡が不動産 所得でも事業 所得でもなく雑 所得に該当するとした判例!
不動産を売買しても雑所得となってしまうことがあります。不動産がらみの所得は、通常「譲渡所得」か「不動産所得」のどちらかになります。
譲渡所得は【本来売る予定のないマンションや土地を売ったときに得る予想外の所得】です。
一方、不動産所得は【家賃などの賃貸所得】です。
この判例は不動産を売買 目的 で購入しているため 譲渡 所得 には 該当しません。
譲渡所得に該当しなければ、事業所得か雑所得のどちらかで判断されることになります。
事業 所得 として 判断 されるためには、
- 自己 の 計算 と 危険 が伴う事業 活動である
- 独立 して 営まれている
- その事業 活動 に営利性 、有償性 、継続性 、反復性 がある
- 精神的 、肉体的 労力 を、その事業活動に 費やした
- その事業 活動 のために 人を雇ったり 設備投資 を行なった
- 安定した 収入を得る 可能性がある
- 不動産 売買 のあっせん や仲介 を不動産 業者 に依頼 している(独立していない)
- 不動産 取引に必要な店舗 などの施設 がなく、雇用している人間もいない
- 別の会社の 代表取締役 として選任 されている(危険が伴っていない)
もしこの事業者が会社の代表取締ではなく不動産売買1本で生活している「本気」が税務署に伝われば、事業所得として認められるのではないかと思います。
有価証券の売買及び商品先物取引により生じた損失を「事業所得から生ずべき業務」ではなく「雑所得を生ずべき業務」から生じた損失の額と認定した原処分を適法とした判例!
FXや有価証券がらみの所得はギャンブル的な要素が強いため【雑所得】と判断されます。
有価 証券 の 売買や 商品 先物取引 は 、投機性 の 強さ から 安定 した 収入を得る可能性が 高いとは 言い難く、事業 所得 以外の所得で 判断 されるのが 通例 となっています。
特に本件 の場合は、
- 事業者 が有価証券 の売買 や商品先物取引 以外に、大規模 な病院 を経営 している
- 有価証券の売買や商品先物取引 が趣味 と実益 を兼ねている
もしこの事業者が病院を経営しておらず生活をかけてFXをしていても、FXは雑所得で確定申告しなければなりません。
まとめ
今回とりあげた3つそれぞれの判例では、- 別の会社から給与をもらっている
- 別の会社の代表取締役である
- 病院の経営者である
「事業所得としての本気」は本人の意思ではなく「社会通念」という考え方が採用されていることもポイントです。
国税不服審判所 の 裁決書からの 引用 です。
一定の具体的取引行為が「事業所得を生ずべき事業」に該当するか否かは、結局一般社会通念に照らし当該取引が事業として行われているか否かによって決せられるべきものであるが、(中略)、その判断においては、単に当該取引の営利性、有償性、継続性及び反復性の有無のみならず、事業としての客観性の有無が問題とされるべきであり、この観点からは、当然にその取引のための人的・物的設備の有無、資金調達方法、取引に費やした精神的、肉体的労力の程度、その者の職歴、社会的地位などのほか、当該取引によって相当期間継続して安定した収益を得られる可能性があるかどうかについて考察せざるを得ないものというべきである。
判断 する側としても、「 社会 通念 」がなければ判断することが難しい状況であることがわかります。
- 複数の不労所得 を得ることで安定した収入が確保すること
- 雇用されないで収入を得ること
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最後まで読んでくださってありがとうございます。
雑所得と事業所得の違いを理解してもらえたら嬉しいです!
ではまた!青田でした!
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ありがとうございます!
参考情報
国税不服審判所金銭貸付けに係る所得が事業所得に該当するとの請求人の主張を認めず、当該所得は雑所得に当たると認定した事例
請求人の本件不動産の譲渡による所得は、営利を目的として継続的に行ったものと認めるのが相当であるから、譲渡所得に該当せず、かつ、その売買は、社会通念上事業と認めるに足りないので、事業所得ではなく雑所得に該当するとした事例
有価証券の売買及び商品先物取引により生じた損失を雑所得を生ずべき業務から生じた損失の額と認定した原処分を適法とした事例